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月刊誌「改革者」2024年 2月号
「改革者」2024年2月号 目次

防衛装備移転の基本的な考え方

永山博之●広島大学大学院教授、政策研究フォーラム常務理事

 令和五年十二月二十二日、防衛装備移転三原則とその運用指針の改正が閣議決定された。今回の改正の趣旨は、外国からのライセンスを受けて生産している装備を完成品も含めて、ライセンス保有国に送れるようにすることである。従来は部品だけしか送れなかった。これによって、日本がアメリカにパトリオット地対空ミサイルを送ることができるようになった。
 この政策変更は緊急に必要だった。アメリカは、自国が保有するパトリオットをウクライナに供給している。アメリカの防空システムの穴を埋めることは、ウクライナへの間接的支援となるだけでなく、東アジアにおける抑止力維持に貢献する。武器の生産は、決まった生産ラインに制約されており、どの国も簡単に増やせない。西側同盟国間で同じ武器システムを使っている場合には、せめて保有する武器を融通できるようにしなければ、有事、平時に武器が足りなくなる。
 また、これまで武器輸出が認められていた「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の五類型について、業務遂行や自衛のためなら殺傷能力のある武器の移転も可能になった。
 この政策変更に対する新聞各紙の態度は、朝日、毎日が反対、読売、産経、日経が賛成である。問題は反対論の根拠である。朝日は、ウクライナへの間接的支援になることについて、ウクライナへの武器輸出を行わない現在の方針を変えるべきでないこと、五類型の拡大には「殺傷兵器の輸出拡大に突き進むことは認められない」とする。毎日は、武器輸出の制限は憲法の平和主義に基づくものだから、歯止めなき拡大には反対、野党も含めて議論すべきだとする。
 憲法の平和主義が武器輸出の制限を含意するのか。憲法は侵略戦争を認めず、歴代内閣の解釈でも自衛のための実力行使だけが認められるとする。侵略戦争を促進するような武器輸出は認められないというなら理解できる。今回の改正はそれにはあたらない。憲法の平和主義は全ての武力行使を禁じていないし、あらゆる殺傷行為を禁じるものでもない。違法な侵略戦争を行わず、正しい国際秩序を守ろうとする趣旨である。武器輸出に感情的に反対することが憲法の平和主義に適うのではない。
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