2016年「全国会議」概要報告
- 日時:2016年2月25日(木)~26日(金)
- 会場:コクヨホール(東京都港区港南1-8-35)
- 参加者:318名
総合テーマ「不透明な時代をどう打開するか」
☆多数ご参加いただき感謝申し上げます。
2015年は、今後の日本の行方を決めるさまざまな法案が成立した1年でした。
安全保障関連法案は、各種調査などから分かるように、国民の理解が進んでいない中で、強引な手法で成立しました。 国会審議も法案の内容はほとんど説明されず、自衛隊の海外派遣に関する論議に明け暮れました。法案の全体像は、いまだに明確になっておりません。 国会の混乱によって安倍内閣の支持率は一時的に低下し、不支持率が上回る結果となりました。無責任な国会運営が行われてきた証でも有ります。 他方で、法案成立後、支持率が持ち直しました。このような世論の動きは、野党側の責任も少なからず関係しているようです。
安倍政権は、法案成立後に「新3本の矢」を提案しました。「3本の矢」についての成果が定まっていない中で、新たな政策を打ち出したように見えますが、 単なる努力目標の表明に過ぎません。 具体的な政策が付されているわけではなく、小泉流のキャッチ・フレーズ政治を彷彿とさせるもので、多くの国民を惑わすように思えてなりません。 どのように日本政治を展開するかが、全く見えてこないのが今日の現状です。
こうした政治状況を踏まえ、2016年「全国会議」では、谷藤悦史理事長の「不透明な時代をどう打開するか」と題する基調講演の後、 日本を取り巻くさまざまな課題に対して、どのように対応すべきかについて提言を打ち出すべく論議を進めました。
中国が対米・対英・対韓など積極的な外交姿勢を打ち出す一方で、南沙諸島をめぐる強硬姿勢を崩さない中国の戦略にどう向き合うかを第1部会で論議しました。
10%への消費税増税を見据え、わが国の社会・経済の大きな課題である、税と社会保障の一体改革はどうあるべきかを第2部会で論議しました。
そして、安倍内閣による安保関連法案の成立を受け、今後の焦点は憲法改正論議に移行しつつあることから、 安全保障・憲法の課題にどう向き合うかを第3部会で論議しました。
それぞれの部会では学識者、研究者、国会議員によるパネルディスカッションならびに参加者からの質問に応える形で論議を深めることができ、 有意義な「全国会議」となりました。
第1日(2月25日・木曜日)
開会式 開会の辞 主催者挨拶 来賓祝辞 (12:30~13:00)
基調講演 「不透明な時代をどう打開するか」 (13:10~14:10)
政策研究フォーラム理事長・早稲田大学教授 谷藤 悦史 氏






第一部会 「中国の戦略にどう向き合うか」(14:20~17:00)
報告者
東京国際大学教授 村井 友秀 氏
慶應義塾大学教授 加茂 具樹 氏
産経新聞社特別記者・論説委員 湯浅 博 氏
司会者
アジア経済研究所・副主任研究員 松本 はる香 氏

村井氏は、周辺脅威バランスを見ると、日本にとって中国が最も脅威であるとし、中国共産党の軍事戦略について述べた。 加茂氏は、日本の対中観と中国の国際戦略を述べ、日中間の「安全観」のキャップを指摘した。 湯浅氏は、米国の力の空白に中露が挑む奇妙な冷戦構造、米中の2つの転換点等について報告した。 3氏と松本氏は会場からの質問に答えながら、討議を深めていった。




第2日(2月26日・金曜日)
第二部会「税と社会保障の一体改革を問う」(9:30~12:10)
報告者
東京大学教授 吉川 洋 氏
慶應義塾大学教授 駒村 康平 氏
民主党参議院議員 大塚 耕平 氏
司会者
中央大学教授 谷口 洋志 氏

吉川氏は、少子高齢化の進行に伴う社会保障の給付と負担の現状、社会保障・税の一体改革の姿などを報告した。 駒村氏は、2025年以降も持続する社会保障制度、ポスト社会保障・税一体改革、高齢者の社会参加の促進について提言した。 大塚氏は、国会議員の立場から、社会保障制度改革の流れ、一体改革関連法案および社会保障充実施策スケジュールについて報告した。 3氏と谷口氏は会場からの質問に答えながら、討議を深めていった。




第三部会 「安全保障・憲法の課題にどう向き合うか」 (13:10~15:50)
報告者
防衛大学校名誉教授 佐瀬 昌盛 氏
駒澤大学名誉教授 西 修 氏
司会者
東洋大学名誉教授 加藤 秀治郎 氏

佐瀬氏は、憲法改正問題ならびに集団的自衛権問題についての歴史を解説し、安倍政権下の集団的自衛権行使容認論と今後の見通しについて報告した。 西氏は、安全保障法制を総括した上で、憲法改正の課題について述べた。 また、各国憲法の制定年と改正の実際および平和条項の態様と採用国数についてのデータを示し、憲法改正における日本の特異性を主張した。 3氏と加藤氏は会場からの質問に答えながら、討議を深めていった。



☆「2016年全国会議」の詳細は会員誌「改革者」4月号・5月号に掲載されます。